癌治療と仕事の両立は6割以上が「困難」と感じている 内閣府調査より
仕事をしながら癌治療を続けることについて、6割以上の人が「困難」と考えていることが、内閣府が取りまとめを行った「がん対策に関する世論調査」により明らかとなった。この世論調査は、2014年11月に全国の成人を対象に行ったもので、1,799人から回答を得たもので、2015年1月19日に内閣府のホームページで公開されている。
「仕事と治療等の両立についての認識」に関する設問では、現在の職場環境などが、治療を受けながら働き続けられる環境であるかを聞いたところ、前回調査にくらべてわずかながら「そう思う」人が増えたが、全体的にはおよそ6割以上の人が「そう思わない」「どちらかといえばそう思わない」と回答している。年齢別でみると、30歳代~50歳代、特に40歳~49歳の年齢層でこの傾向が強く、およそ4人に1人が「そう思わない」、およそ2人に1人が「どちらかといえばそう思わない」と回答している。
この理由は、次の設問である「両立を困難にする最大の要因」に関係しているのかもしれない。
30歳代~50歳代では特に、職場環境の改善が必要と考えられる回答が多かった。その一方で40歳代に限ってみると、「休むと収入が減る」「がん治療・検査と仕事の両立が体力的に困難」という回答も多かった。
ここで、現在の40歳代の生活背景を考えてみる。
現在の40歳代は、自身が20歳代・30歳代の時に産まれた子どもが、10歳代から20歳代となる年齢でもある。仕事上の立場としてもいわゆる中堅層であり、自分の仕事を他の人に割振ることが難しい年代でもあるが、その反面、家庭内でも子どもの進学など教育への資金が必要な年代であるともいえる。これらのことを考慮すると、40歳代は収入面や自身の体力面での不安が大きいという結果につながっているのではないだろうか。
癌治療と仕事を両立させるには、職場環境の改善だけでは難しく、費用面での対策や、子どもの教育資金への対策など、がん対策以外にも何らかの対策が望まれていると、推測される。
(Medister 2015年2月6日 葛西みゆき)
<参考文献>
内閣府 平成26年度 がん対策に関する世論調査
5.がん患者と社会とのつながりについて
厚生労働省 平成25年(2013)人口動態統計(確定数)の概況
第4表 母の年齢(5歳階級)・ 出生順位別にみた出生数
がん患者さんの心と体の悩み解決ガイド (日経メディカル・ブックス)