第66回日本産婦人科学会学術講演会のホットトピックス
子宮頸癌に対するいくつかの動きが出ている。
まず1つ目は、HPVのタイプに関する研究成果の発表だ。2014年4月18日から20日までに東京都内で開催された、第66回日本産科婦人科学会学術講演会において、金沢医科大学の坂本人一氏によって発表された研究成果に注目したい。この研究は、これまで世界的にみても中間型リスクとされていた、53、67、69、70タイプのHPVによる感染が、日本人においては子宮頸癌の高リスクとなる可能性を明らかにしたものだ。これまで、世界的にもHPVの16、18、31、33、35、39、45、51などの13種類が高リスクと考えられており、日本で使用できる子宮頸癌ワクチンでは、GardasilがHPV6、11、16、18を、CervarixがHPV16、18に対する予防効果を持つ。しかし坂本氏らが13種類以外の型で高リスクとなるタイプについて、日本における子宮頸部浸潤癌組織を用いたHPVの解析を行った結果、53型(1.7%)、67型(0.3%)、69型(0.7%)、70型(0.3%)が単独型として検出され、高リスクの可能性が示されたという。これからはいずれも日本で使用可能なワクチンには含まれておらず、坂本氏は「HPVワクチンの接種の普及は若年者の子宮頸癌の70%以上を防ぐと考えられる」としている。
一方、同じ第66回日本産科婦人科学会学術講演会において、岩手医科大学の高取恵里子氏により「再発子宮頸部腺癌にSOXレジメンが有用である可能性」についての発表が行われた。高取氏らのグループは、10人の患者を対象として2007年4月から2013年9月までに21日間(1サイクル)、オキサリプラチンを1日目に100mg/m2、S-1を14日間連続で体表面積に応じて1日2回80mgから120mg投与、これを原則として6コース投与し、その効果と安全性についての研究を行った。その結果、完全奏効(CR)1人、部分奏効(PR)5人、病勢安定(SD)4人となり、奏効率は60%、疾患制御率は100%という結果となった。
この結果を受け、すでに東北婦人科腫瘍研究会によるフェーズ2試験が開始されているという。
日本における子宮頸癌は、ワクチンによる副作用の問題など、まだまだ課題も多い。この後もこれらの研究の動向には注目していきたい。
(Medister 2014年4月23日 葛西みゆき)