血糖値が高めの人、がんリスクにご用心!? 国立がんセンターの研究より
国立がん研究センター(東京都中央区 以下国がん)の研究により、高血糖の状態が続いている人は、がんの発症リスクが高くなることが分かった。この研究は、国がんを中心とする研究チームが行ったコホート研究によるもので、2015年11月に、International Journal of Cancer にてWeb公開されている。
このコホート研究は、日本のさまざまな地域の被験者が関わっている。今回の研究の被験者は以下の通り。
・平成2年(1990年)と平成5年(1993年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古の9保健所(呼称は2015年現在)管内に住んでいた住民
・このうち、1998~2000年度および2003~2005年度に実施された糖尿病調査への協力が得られた住民
・この中から、ヘモグロビンA1c(HbA1c)のデータがあり、初回の調査時までにがんに罹患していなかった29,629人(男性11,336人、女性18,293人)
が対象となっている。これらの被験者のデータから、HbA1cとがん罹患リスクとの関係を調査した。研究チームは、46~80歳の男女約3万人を対象に、最長で25年間の追跡を行ったことになる。尚、今回の追跡期間中に、1995件のがんが発生していた。
研究チームは今回、HbA1cの値を「5%未満」「5.0-5.5%」「5.5-6.0%」「6.0-6.5%」「6.5%以上」の5段階に分類した。これに対し、「5.0-5.5%」のグループを基準とすると、すべてのがんのリスクは、糖尿病と診断される手前の「6.0-6.5%」のグループで1.28倍となり、糖尿病診断目安である「6.5%以上」では、1.43倍まで高くなっていた。
尚、本研究は、糖尿病手前となる高HbA1c値が、全がんリスクと関連していることを報告した最初の論文である。研究チームは、過去に行われた研究でも、糖尿病とがんの発症リスクの関係性が報告されていたが、本研究により、糖尿病予防対策の重要性が、がん対策としての重要性をも示唆された、としている。
(Medister 2016年1月6日 葛西みゆき)
<参考資料>
国立がん研究センターがん予防・検診研究センター2015/12/21 ヘモグロビンA1c(HbA1c)とがんとの関連
同上 多目的コホート研究(JPHC Study)ヘモグロビンA1c(HbA1c)とがん罹患との関連について
糖質オフだから毎日食べてもふとらないお菓子 (食べてすこやかシリーズ)