見えてきた、肥満と癌の関連性 IARCが調査結果を公表
2014年11月26日付で、世界保健機構の外部組織である国際がん研究機関(以下、IARC)は、「肥満に関連する新たな癌の発症が、2012年の1年間で50万ケースが確認され、特に女性で肥満関連癌の割合が高い」という研究結果を公表した。この研究結果は、イギリスの医学誌、THE LANCET Oncorogyに掲載されている。
この研究では、BMI25kg/m2以上を肥満と定義し、成人に対する人口寄与割合(PAFs)を導出、BMI、年齢、性別、国と地域により分析を行った。元となったのは「GLOBOCAN2012 data」であり、これは全体での非黒色腫皮膚癌を除く、すべての癌の推定発症率、死亡率などの有望率に対してまとめられたもの。このデータを用い、肥満に起因する新たな癌の発症例に対する分析を行った。
その結果、全体でおよそ3.6%の癌発症は、肥満に関連していると推測されることが分かった。発展途上国と先進国を比較すると、先進国で比較的高値となっている(発展途上国は1.5%に対し、先進国では5.2%)。国別の推計では、北米で23%、チェコ共和国で5.5%、ヨルダンで4.5%、イギリスで4.4%と続いている。
また、特に女性ではその関連性が高いことも示唆されている。PAFsは男性よりも女性の方が高く(男性:1.9%に対し、女性:5.4%)例えば、バルバドスでは12.7%、チェコ共和国で12.0%、プエルトリコで11.6%と、女性では男性よりもその比率が高くなることが分かった。癌の種別では、子宮体癌、閉経後乳癌、大腸癌が、肥満に起因する癌の63.6%を占めて占めているという。
IARCのMlina Arnold医師は「例えば世界中で閉経後乳癌と肥満との関連が研究されているが、少なくともこれらの癌の10%は、健康な体重を維持することで回避できたであろう」とコメントしている。また同じくIARCのディレクターであるChristpher Wild医師は「肥満に関連する癌の発症は経済成長とともに増加すると予測され、急速な発展を続ける豊かな国では特に、より効率的な体重管理対策に重点をおくべきであろう」とコメントしている。
(Medister 2014年12月1日 葛西みゆき)