金欲しさのあまり患者らに不正請求
三重県津市阿漕町津興の医療法人・東津会大森内科で、過去数年間に渡り患者らに対して、点滴を行ったように見せ掛けるなど実際には行っていない保険診療を付け増したり、保険点数の高い別の保険診療に振り替えたりして、診療報酬を不正に請求していた事実が、東海北陸厚生局の調査で判明した。不正請求額は監査対象となった2008年3月から2009年6月診療分で計575万円に上るという。同局の調べで、その内科では購入実績がない薬剤費を患者らに対して請求した事実も判明している。東津会大森内科の大森俊院長は事実関係を認め、「経営難でやってしまった」と話しているという。同院は厳重な行政処分により、保険医療機関指定と、大森院長の保険医登録が取り消しとなった。今回の医療不祥事に対する行政処分のため、同院は今後原則5年間、保健医療機関への再指定や再登録が受けられず保険診療ができない。
行政処分の重さもさることながら、今回の医療不祥事は所謂民間企業の「売上至上主義」が招いた不祥事に他ならない。売上が上がらなければ経営が不可能になるのは民間企業も病院も同じであるが、他人の生命を預かり、患者との信頼関係を保つべき立場にあるはずの医師が、金儲けのために公然とこのような不正請求を行っていたことは、決して許されざる事態であり、医師のモラルの低下が問題である。このような事態が再発しないようにするために、今後は医療費の監査体制をより強化していくことも重要と考えられる。(中立元樹)
リンク
1. 中日新聞
2. 東海北陸厚生局