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長期アルコール摂取による女性の慢性関節リウマチ予防

日本では、日本リウマチ財団の提供している情報では、平成4年の国民生活基礎調査で「手足の関節が痛む」と訴える人数が、日本全国で560万人、厚生省のリウマチ調査研究班の報告で、慢性関節リウマチのみでも患者数は日本全国で70万人とされており、毎年1.5万人が新たに発病しているという。

これまでの研究で、アルコール摂取と関節リウマチの発症リスクに関して既報があるが、カロリンスカ研究所(スウェーデン)のAlicja Wolk教授らは、長期のアルコール摂取と女性の慢性関節リウマチの発症との間の関連を前向きコホート研究として行い、医学誌「BMJ」に報告(2012年7月10日)した。

Alicja Wolk教授らは、1914年から1948年の間に生まれた34,141人の女性に対し、2003年1月1日から2009年12月31日までが研究対象とし、アルコール消費量のデータは1987年と1997年に収集した。

フォローアップ期間中(226,032人年)に、新たな関節リウマチを197例同定した。その結果、週に4グラス(1グラス = エタノール15 g)以上のアルコールを摂取した女性は、週に1グラス以下もしくはアルコールを摂取したない女性と比べ、関節リウマチのリスクが37%の統計的に有意な減少がみられた(相対リスク0.63)。ビール、ワイン、リキュールなどのアルコール種は結果に影響を与えなかった。1987年から1997年の間に週3グラス以上のアルコールを長期に摂取し続けた女性では、アルコールを摂取しない女性に比べ、関節リウマチのリスクが52%減少した(相対リスク0.48)。

以上より、Alicja Wolk教授らは、「アルコールの適度な摂取は、関節リウマチのリスクを提言することが示された」と述べている。アルコール濃度5.5%の350ml缶ビールのアルコール量はおよそ15gなので、週3,4本以上を飲み続けることが関節リウマチのリスク低減に繋がるということになる。お酒は「百薬の長」といわれ、単なるストレス解消以上の効果があるというエビデンスとして、興味深い結果である。(Medister 2012年7月12日)