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閉塞性睡眠時無呼吸症候群を治療するためのSilensorの効果

閉塞性睡眠時無呼吸症候群は肥満者に多く、睡眠時に呼吸停止または低呼吸になる。治療法としてはCPAP装置により鼻を経由して加圧された空気を送り、気道狭窄を防ぐ方法が取られる。CPAPが使えない患者や、肥満体でなく下顎の小ささが原因となる患者には、下顎ポジショニング装置(マウスピース)を使った治療法が取られることがある。

 

下顎ポジショニング装置が閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の治療のために非常に有効だが、顎関節障害と咬合偏差などの副作用を引き起こす可能性がある。副作用の低い半硬質デバイスのSilensor(Erkodent GmbH:ドイツ)は、以前に報告されていたが、我が国での使用例はまだ少ない。そこで、山口大学医学部歯科口腔外科学講座の上山吉哉教授らのグループは、SilensorはOSASの治療の有効性について検討し、医学誌「Oral Maxillofac Surg.」のオンライン版に報告(2012年5月9日)した。

 

上山教授らは、OSASの患者35名(男性27名、女性8名)の治療に際し、Silensorを使用して検討した。患者の平均年齢は52.2歳(23から72歳)、BMIは24.5 kg/m2(19.3-31.6 kg/m2)だった。コネクタの長さより2つのグループに分類し、睡眠ポリソムノグラフィ検査は初診時と自覚症状の改善後の二回行った。

 

その結果、無呼吸低呼吸指数が大幅にすべてのOSAS患者で改善した。唯一の副作用は、装置が壊れたというケースと、頬粘膜への損傷がみられた。

 

以上より、上山教授らは「Silensorは副作用が少なく、他の矯正器具と同等の効果があったため、特にOSASの治療の第一段階に有用である」と述べている。(Medisterニュース 2012/5/17)