医療NEWS

開業医の悩み

やはり、経営の悩みが大きいようです。昔は、クリニックの数自体が少なかったので、とにかく患者様が集まる。ニュータウンが次々とでき、そこへ開院すれば、患者様は必ずある。ですが、今は開業するクリニックが多くなってしまって、さらに人口自体が増えないので、患者様の取り合い現象が生じています。ですので、開業支援システムなるものを提供する業者が出てきました。この業者がするのは、不動産や医療機器を購入するための融資の紹介や、開業するであろう地域におけるリサーチ業務などです。リサーチ?例えば、すでに開業している科目が近くにないか?近くにない科だから、ねらい目ですよ。とか、患者様はどの程度集まりそうか?高齢の人の多い地域だから、小児科を開いてもどうだろうか?とか、逆に、整形外科ならば、リハビリも併用すれば、患者様が、多く来院されるでしょう。なんて、細かい事項を、徹底的に調査してくれるわけです。そういう業者に業務委託するのも一考です。また、具体的に先生自身が流行っているクリニックを調べてみるのです。口コミなどでは、話しやすい先生、説明のわかりやすい先生のいるクリニックが流行る、と聞きます。あるいは、高齢の患者様は多くの疾患を抱えています。そこで、薬の出し過ぎにならないか?今までの治療に障らないか?など、患者様の疾患をトータルに捉えて、他の科目との連絡をスムーズにしてくれるのも、流行るポイントのようです。あるいは、漢方薬の処方など、同じ内科でも、ほかのクリニックにはないサービスを提供できれば、患者様は多くなります。

開業していれば、プライベートでも患者様と会う率が高くなり、それを嫌う先生もいます。だから高速道路で1時間かかる場所にクリニックを持つ先生もいます。さらに、子供さんが小さければ、その地域の学校に通うわけですし、奥さんもコミュニティーで過ごすわけです。今は夜間・休日診療所などが充実してきていますが、住居併設だと、寝入りばなに叩き起こされる場合も未だあります。そういう、地域に根を張った、濃い関係が嫌でない先生ならいいのですが。そう、育った地域にクリニックを開く先生のように。

また、オンオフの切り替えをしょっちゅうしないといけないので、嫌だという場合もあります。普通、午前午後の診療で、その間の空いた時間がプライベートとも仕事時間ともとれない部分があって、嫌だとか。勤務していれば、朝出かけて帰るまで、とかいうふうに区切りがしやすく、テンションも調整しやすいですが。その一方で、日中に自由になる時間ができるので、病院勤務時代には出来なかった活動もできていい。という先生もいます。また広く考えてみれば、日本の多くの自営業者は、そんなオンオフの切り替えの生活が当たり前です。その辺は、今ある状況を楽しめる能力とも、関係しているような気がします。開業しての生活が不満だらけの場合は、病院勤務のときも、別の方向での文句ばかり言っていたような気がしませんか?

(三川恵子)

Back To The Street ふろむ診療所

クリニック経営に心の余裕を!