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食べる回数を増やして子どもの脂質異常症を改善する

学校保健統計(平成23年)によると、10歳児の肥満傾向児の割合は、調査を始めた昭和52年に5.86%だったものの、平成20年にピークを迎え、10.39%という数値になり、その後社会的にも注目された背景により、平成23年度には8.59%まで低下している。しかしながら、肥満傾向児は高血圧、高脂血症、将来的には糖尿病や心臓病など生活習慣病のリスクにも関連し、引き続き肥満傾向児の出現率低下に取り組む必要がある。

ハロコピオ大学(ギリシャ)のManios Y.氏らは、ギリシャの4つの地域に属する77ヶ所の小学校で、9歳から13歳の子ども2043例に対し、断面疫学研究を実施し、学術誌「Eur J Nutr.」に報告(2012 Aug 7)した。食事摂取量、朝食パターンと摂食頻度、身体活動レベル、睡眠時間、身体計測、生化学的指標、社会経済的情報(両親から収集)に関し全ての子どもで評価した。その結果、少ない睡眠時間と高濃度の砂糖入り飲料を摂取する消費生活パターンは、HDLコレステロール量と逆相関し、total/HDLコレステロール比に相関した。また、食事回数が多い、中等度以上の活発な身体活動レベル(MVPA)の生活パターンの子は、総コレステロール値、LDLコレステロール値、total/HDLコレステロール比と逆相関することが多変量解析により示された。以上より、1日44.8分以上のMVPAでかつ、1日あたり4.7回以上の摂食頻度の子どもは、総コレステロール値、LDLコレステロール値、total/HDL コレステロール比が、それぞれ異常値のレベルよりも29.7%、32.6%、43.1 %低下していた。

以上よりManios Y.氏らは、「1日45分以上の中等度以上の運動と、5回以上の食事頻度により、児童の脂質異常症を減少させることができると示唆された。」と述べている。我が国では、平成20年国民健康・栄養調査では7歳から14歳の朝食欠食率は男子6.5%、女子5.0%という報告があり、本研究を参照するならば、まず朝食をしっかり取ること、そしてさらに昼食夕食に加え2食摂食する機会を設ける必要がありそうだ。(Medister 2012年8月10日)

子どもを生活習慣病にしない食卓―小・中学生の5人に1人が脂質異常症!