食後高脂血症は甲状腺機能低下症患者の内皮依存性の動脈拡張を抑制する
甲状腺機能低下症は、人口に対し約1%みられ、治療しない場合、コレステロール増加に伴い、動脈硬化が促進し、心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化症に起因する疾患に至る。アテローム性動脈硬化症の発症初期段階には内皮機能障害が表出することが知られている。
広州管轄区武漢総合病院のZhao LS氏らのグループでは、顕性甲状腺機能低下症(oHT)と無症候性甲状腺機能低下症(sHT)の患者における食後高脂血症と内皮機能障害の間の関連性を明らかにするために、oHTとsHTの女性患者と、甲状腺機能正常状態の女性健常者(各10例)に対し、経口脂肪負荷の前後でのFMD検査を行い、結果を医学誌「Endocrine」のオンライン版に報告(2012 Feb 22)した。
スピアマン相関により、甲状腺機能低下症患者と健常者において、経口脂質負荷試験時のFMD値とトリグリセリドに負の相関、FMD値とチオバルビツール酸反応物(TBARS)に負の相関、トリグリセリドとチオバルビツール酸反応物(TBARS)に正の相関が見出された。
以上より本研究の結果をまとめると、oHTとsHTを含む甲状腺機能低下症でも、健常者でも、経口脂肪負荷後のFMD値は低下がみられた。また、高トリグリセリド血症および酸素由来のフリーラジカルの程度に関連し、経口脂質負荷の後に内皮機能障害が観察された。(Medisterニュース 2012年2月29日)