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ALSにおける行動障害評価ツールALS-FTD-Q

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は孤発性と遺伝性の両型を有し、若年と中年に多い神経変性疾患である。運動ニューロンの障害が顕著だが、わずかな患者に認知障害、行動障害が現れる。

ALSにおける行動障害の評価として、前頭側頭型認知症(ALS-bvFTD)が重要だ。運動障害とディサースリア(構音障害)は、現在一般に使用されている行動アンケートでは考慮されていない。そこで、アムステルダム大学のde Haan RJ氏らはALSの患者のための新しい行動アンケート(筋萎縮性側索硬化症•前頭側頭型認知症 – アンケート[ALS-FTD-Q])を検証し、医学誌「Neurology」に報告(2012 Sep 25;79(13):1377-83.)した。

他の臨床検定法に加えて、ALS(N =103)、ALS-bvFTD(N= 10)、bvFTD(N= 25)患者、筋疾患対照被験者(N = 39)、対照群(N = 31)からのデータを使用して、信頼性、臨床的妥当性、構成概念妥当性を検討したところ、ALS-FTD-Qの内部整合性は良好であった。ALS-FTD-Qの妥当性は、前頭葉機能に関する行動評価尺度(FrSBe)、前頭葉性行動質問紙 (FBI)、Hospital Anxiety and Depression Scale、改訂版ALS機能評価尺度、前頭葉機能検査(FAB)、ミニメンタルステート検査(MMSE)、fluency indexにより評価して、ALS-FTD-Qは、他の行動測定と高い関連性が示され、ALS-FTD-Qは、ALS-bvFTD患者、ALS患者、および対照被験者を識別した。また、ALS-FTD-Qによる行動障害の時点有病率を、FrSBeとFBIで得られた時点有病率と比較したところ、ALS-FTD-Qの結果はFrSBeやFBIより低い値となった。

以上より、「ALS-FTD-Qは、ALSにおける行動障害のスクリーニングに利用できる。」と結論した。ALS-FTD-Qは運動障害とディサースリアが考慮された試験として、今後の活用が期待される。(Medister 2012年10月2日)

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