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CPAP療法により閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は高血圧リスクが低下する

閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、肥満者に多くみられ、睡眠中の筋弛緩により舌根部や軟口蓋が下がり気道が閉塞されることにより、睡眠時に呼吸停止もしくは低呼吸を来す。主要な治療法として、持続陽圧呼吸(CPAP)療法が知られる。

閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の患者には高血圧が頻発する。これまでの研究では、CPAP療法は、高血圧症とOSAの患者で血圧を低下させることが示唆されていたが、それを検証するために米国コロンビア大学のSanja Jelic氏らは、スペインのザラゴザにある睡眠センターで、1994年~2000年の間に夜間ポリソムノグラフィーで検査された高血圧症のない1889人の患者に対し、前向きコホート研究を実施した。2011年1月1日時点でのフォローアップデータを元に、OSAのない患者(コントロール群)、CPAP療法を受けていないOSA患者、CPAP療法を受けているOSA患者において、新たに発生した高血圧症の発生率をアウトカムとして、高血圧に関するハザード比を検討した。

期間中に21,003人 (中央値12.2年)がフォローアップされ、高血圧の患者は705 例 (37.3%)みられた。その結果、コントロール群に対する高血圧発生率のハザード比は、CPAP療法が不適切なOSA患者で1.33 、CPAP療法を拒否したOSA患者で1.96、CPAP療法に固執しないOSA患者で1.78、CPAP療法を受けたOSA患者で0.71だった。

以上より、OSAのない患者と比較して、OSAがあることにより高血圧症のリスクは増加するが、CPAP療法により高血圧症のリスクが下がることがわかった。この報告は、医学誌「JAMA」に掲載(2012;307(20):2169-2176.)された。(Medisterニュース 2012年6月1日)