<ドクターエディ・ラボ> 効果的な文献検索で最新論文情報を入手して、研究内容を深めよう(2)データベースを使った文献検索
アカデミック・コミュニケーションの教授、Dr. Eddyが医学論文のジャーナル投稿に関するイロハをやさしく解説するドクターエディ・ラボ。シリーズ2では効果的な文献検索と最新の論文情報を入手するコツを説明します。
(1)まず学術データベースを使う前に…
前回の記事では文献検索のメリットと、文献検索で使用する明確なキーワードの選び方について説明しました。では、そのキーワードを使って、いざ文献を検索してみましょう。文献検索をおこなうためには学術データベースを使って検索する必要があります。基本的に各データベースは、データ収集のための独自の情報源を持ち、さらにどのジャーナル記事をデータベース上に表示するかを決定するための独自のプロセスを持っています。そのため、1つのデータベースによる検索に制限してしまうと、関連した論文記事を見逃してしまうかもしれません。たとえば、検索をエルゼビアのサイエンス・ダイレクトに限定して検索してしまうと、エルゼビアで出版されたジャーナルしか表示しないので、関連の掲載論文を見逃すおそれがあります。
(2)データベースの特徴とは?
では、各データベースの特徴をみてみましょう。データベースには大きく分けると3つあります。どんなときに使うのがベストなのかをみてみましょう。
- 参考文献・一般データベース
データベース名:スコーパス、ISI Web of Knowledge、グーグルスカラー、エムベース、JSTOR、プロクエストなど
特徴:人気があり質の高い論文を検索するとき、情報発掘プロセスの開始、最初の論文を発見するときに最適 - 出版社のデータベース・ジャーナルのホームページ
データベース名:エルゼビアのScienceDirect、 シュプリンガーリンク、ワイリー・オンライン・ライブラリー、オックスフォードジャーナルなど
特徴:自分の研究トピックに関連した論文を頻繁に出版するジャーナルを閲覧するとき、自分の専門分野に特化したジャーナルを閲覧するときに最適 - 分野特有のデータベース
データベース名:MEDLINE、PsychINFO、 MathSciNet、arxiv.org、Sociological Abstracts、EconLit、ERIC、INSPEC
特徴:特定の学問分野の論文記事を探すとき、特定のトピックに関する徹底したリサーチをするとき、世に知られていない、もしくはニッチなトピックを探すときに最適
この3種類のデータベースの特徴を把握し、使い分けることができれば、自分の研究分野に沿いながらもより広範囲で深みのある文献検索をおこなうことができます。
(3)文献検索で気をつけたいこと
以上のことにプラスして、3つのことを心に留めておくとあなたの文献検索はより充実したものになるでしょう。
①引用文献の追跡してみよう
関連のジャーナル記事を特定した後、さらに他の研究業績を見つける簡単な方法は、手に入れた記事の参考文献リストを見ていくことです。これを逆検索といいます。
②検索結果は文書で保存しよう
検索過程でよく見るジャーナル名は書き留めておきましょう。
-どのジャーナルがあなたの研究分野で最も重要なのか?
-どのジャーナルへ出版するべきか?
といったことが次第にわかってきます。さらに、良い検索結果のキーワードおよびキーワードの組み合わせリストは保存しておきましょう。これは将来検索にかける時間を減らすだけでなく、自分の研究分野で一般的な専門用語のリスト作成につながります。
③参考文献管理ソフトを使ってみる
膨大な数の研究業績を吟味したり追跡したりする場合、手作業による参考文献の編集はもう不要です。EndNote(有償)やZotero(無償)のような参考文献管理ソフトを利用しましょう。参考文献管理ソフトは、ジャーナルのホームページからワンクリックで自分のコンピュータのライブラリ・ディレクトリにダウンロードでき、紙も無駄にしません。こういったソフトは最初は使いこなすのが難しいかもしれませんが、説明書や使い方ビデオをざっと見て、試行錯誤しながら数日間学ぶだけで、使い勝手が良くなります。
前回と今回で文献検索の方法はマスターしましたね。では次回は最新論文情報を入手するための方法についてお伝えします。
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