<ドクターエディ・ラボ> よく耳にするサラミ法について(2)サラミ法の見分け方
(2)サラミ法の見分け方
(1)サラミ法に対するジャーナル編集者の声
ジャーナル出版社の編集者もサラミ法についてはかなり慎重です。次の文は、American Journal of Speech-Language Pathologyの編集者の声です。
“American Journal of Speech-Language Pathologyへ原稿が提出されたとき、決めなければいけない数ある多くの決断の1つに、“最小出版可能単位”(least publishable unit) の基準を満たしているか、もしくは越えているかどうかを判断しなければいけません。この決断を実行するために、私は次の質問を自問します。「この原稿は論文出版を保証する十分な新しいデータ、知識、見識を含んでいるか?」と。”
この編集者の声からもわかるように、新たなデータ、知識、見識を含まれているということが論文を出版する上では大事なポイントです。つまりは、サラミ論文ではないかを見極めることが編集者にとっては重要なことなのです。
(2)サラミ法の見分け方
サラミ法については前回説明しました。でも、サラミ法は言葉で説明されてもイマイチぴんとこない人もいるかもしれません。では、ここでクイズ形式の具体的な例をあげてみましょう。
あるジャーナルの編集者がサラミ法の実態を説明するために以下の例をあげました。あなたはどちらがサラミ法がわかりますか?
その1)
科学者が新しい研究を開始しました。その研究者はデータ収集の為に、既存の機械より精密な新しい機械を開発します。メインである研究の完了には1年かそれ以上かかります。その科学者はメインの研究が完了する前に新しい機械を説明した出版用論文を投稿します。
その2)
研究課題を決め、研究デザインを設定後、科学者は三つの参加者グループに関するデータを収集します。グループのうち二つは異なるタイプの失語症を持ち(AグループとBグループ)、一つは管理グループです。科学者は二本の出版用論文を投稿します。1つはAグループと管理グループを比較したもの、もう1つはBグループと管理グループを比較したもの。
1番目はサラミ出版とみなされるおそれはないでしょう。新しい機械は研究課題の一部ではなく、むしろ研究課題を果たすために開発されたものです。さらに他の科学者たちもその新しいデータ収集法を利用でき、出版の恩恵を受けます。メインの研究を出版するときは、その科学者はこの機械について詳しくMethodで説明する必要はありませんが、先の出版について言及すべきです。
一方で、2つ目はサラミ出版とみなされるおそれがあります。なぜなら、すべてのデータが1つの原稿で出版されるべきだからです。このような形で2つの比較した論文をそれぞれのジャーナルへ投稿することはサラミ論文とみなされるでしょう。
サラミ論文とそうではない論文の違いついてはお分かりになったかと思います。では次回はサラミ論文がなぜ問題なのかについて迫ってみたいと思います。
次回記事
<ドクターエディ・ラボ>「よく耳にするサラミ法について(3)サラミ論文の何が問題なのか?
過去記事
<ドクターエディ・ラボ>よく耳にするサラミ法について(1)サラミ法とは?
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