メディスターレポート

<ドクターエディ・ラボ>ジャーナルが論文をリジェクトする理由とその対策について(3)原稿の質に関係ないリジェクト理由


 

アカデミック・コミュニケーションの教授、Dr. Eddyが医学論文のジャーナル投稿に関するイロハをやさしく解説するドクターエディ・ラボ。シリーズ6では、ジャーナルが論文をリジェクトする理由とその対策について説明します。
<ドクターエディ・ラボ>ジャーナルが論文をリジェクトする理由とその対策について(3)原稿の質に関係ないリジェクト理由 

 

原稿の質に関係のないリジェクトの理由

一方で、これまであげたような原稿の質の低さがリジェクトの唯一の理由ではありません。ジャーナルの決定に影響を与える重大な要因がいくつかあります。以下にあげた理由も十分に考えられるでしょう。

 

(1)スペースの制約

ジャーナルがスペース不足を主な理由として質の高い原稿をリジェクトすることは珍しくありません。ジャーナルは自誌の領域全体に見合う範囲のトピックについて出版したいのです。印刷版ジャーナルの編集者は限られた数の記事しか出版できないため、どの論文を出版するか、厳選しなければいけないのです。一方、オープンアクセスのジャーナルにとってスペースは大きな問題ではないので、これに関する制約は少ないです。

 

(2)査読者の質と経験

査読者の質は、彼らの専門での経験、教育的な背景、研究の興味などによって大きなばらつきがあり、これが査読に影響を及ぼします。

 

(3)大量の論文投稿数の影響

当然、多数の投稿を呼ぶジャーナルは多数の原稿をリジェクトします。たとえば、ネイチャーは年間1万の投稿を受けるので、質の高い原稿でさえもリジェクトすることが不可避となります。

 

(4)ジャーナルの意思決定方針

これはジャーナル間でのばらつきが大きいです。たとえば、大幅な改訂を必要とする原稿は全てリジェクトするという方針を採るジャーナルもあれば、原稿の質が定かでない場合には別の査読者による査読を再度行うジャーナルもあります。ジャーナル編集者が特定のテーマの論文を探している場合があります。ジャーナル編集者は時折そのジャーナルがテーマとする事案を出版したがったり、その時のホットな話題に興味を持ったりすることもあり、こういった場合にはその特定のトピックに焦点をあてた記事の方がアクセプトされる傾向にあるかもしれません。一方、ジャーナルが同じテーマで1本以上の投稿を受けた場合、ジャーナルはそれらの原稿のうち恐らくひとつだけを出版して、その他の原稿は類似したトピックの論文がすでにあるというだけの理由ですべてリジェクトするでしょう。
ジャーナルが出版向けの原稿をリジェクトする理由は、研究や原稿の質が原因だったり、ジャーナルとのミスマッチのような完全に回避できる理由だったりと、数多くあります。これまで述べてきた理由は最も一般的なリジェクトの理由のうちのいくつかですが、これだけではありません。サラミ出版や、倫理上の方針への不適合、そして剽窃など他にもさまざまな理由があります。

 

過去記事

<ドクターエディ・ラボ>ジャーナルが論文をリジェクトする理由とその対策について(1)リジェクトの一般的な理由(前半)
<ドクターエディ・ラボ>ジャーナルが論文をリジェクトする理由とその対策について(2)リジェクトの一般的な理由(後半)
 
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