メディスターレポート

<ドクターエディ・ラボ> 優れたタイトルとアブストラクト、適切なキーワード選び(3)アブストラクトの書き方


 

アカデミック・コミュニケーションの教授Dr. Eddyが、医学論文のジャーナル投稿に関するイロハをやさしく解説するドクターエディ・ラボ。シリーズ11では、優れたタイトルとアブストラクト、適切なキーワード選びの大切さについて説明します。
<ドクターエディ・ラボ> 優れたタイトルとアブストラクト、適切なキーワード選び(3)アブストラクトの書き方 

 

(1)アブストラクトの種類とは?

この記事ではアブストラクトについて説明します。アブストラクトとはマーケティングツールのように機能するべきものです。

  • なぜ研究が実施されたのか?
  • 何が目標だったのか、それらは達成できたのか?
  • そして主な研究成果は何だったのかを説明する

アブストラクトは、論文全体の簡潔で的確な要旨を示すことで、読者が「論文の本文には何か読む価値があるか」ということを判断するのに役立つはずです。

アブストラクトは、一般的に長さが100~300単語で、説明型(descriptive)、情報提供型(informative)、組み立て型(structured)といった3つの種類があります。
説明型のアブストラクト:概して社会科学や人文科学に使用されます。研究方法や結果に関する特定の情報は入れないようにしましょう。
情報提供型のアブストラクト:一般に自然科学で使用され、背景、目的、実験方法、結果、そして結論に関する情報を示します。
組み立て型アブストラクト:本質的には情報提供型のアブストラクトで、一連の項目(目的、方法、結果、結論)に分割され、主に医学文献や治験の総括報告書で見られます。

 

(2)情報提供型アブストラクトの書き方

一般的に科学文献で使用される優れた情報提供型アブストラクトの書き方に注目します。ジャーナルのガイドラインを元に項目を抜き出すだけで、同じ方法を組み立て型アブストラクトの執筆にも応用できます。

①論文を書き終えた後でアブストラクトを書き始めましょう。
②主要な目的、仮説、そして結論を、序論と結論のセクションから抜き出して「どんな課題を解決しようとしているのか?」「それに取り組んだ動機は何か?」という質問にまずは答えてください。
③次に、実験方法のセクションから鍵となる文章とフレーズを選び、「目的を達成するためにどのように取り組んだのか?」という質問に答えてください。
④結果のセクションから主要な結果をリストアップして、あなたの研究成果を示しましょう。
⑤最後に、「あなたの研究成果はどんな影響を及ぼすか?」という質問に答えてください。
⑥ステップ2、3、4、5で選んだ文章とフレーズを、 序論、実験方法、実験結果、結論の順番でひとつの段落にまとめます。
⑦この段落は独立していて、以下が含まれていないことを確認しましょう。

  • 論文中に無い情報
  • 図や表
  • 略語
  • 文献レビューや参考、引用文献

⑧それではここで文章をつなげます。
⑨段落は過去形で書き、できれば順序は目的、基本的な研究デザインや採用した手法、主要な研究成果、結論、影響とし、情報の流れがきちんとしているかを確認しましょう。
⑩完成版を確認します。そのアブストラクトは

  • 論文内で示した内容と矛盾しない情報を含むこと。
  • 投稿を目指すジャーナルのガイドライン(単語数の制限、アブストラクトの種類等)に沿っていること。
  • 審査員や編集者が「この論文は不十分でありリジェクトすべきであるという結論を下す」ことになりかねないので、タイプミスはないこと。

次回は、キーワードの選択について説明したいと思います。
また、研究者のための情報ポータル、エディテージ・インサイトでは論文の執筆と投稿に役立つ情報が満載です。ぜひ是非チェックしてみてください。

 
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