ASVの適正使用と今後について
はじめに
適応補助換気(ASV: adaptive servo ventilation)は、重症心不全や睡眠呼吸障害に有効であることが多く報告されている。しかしながら、国内では十分に有効活用されているとは言い難い。また、2014年における「医科点数表の解釈の明確化」により、ASV使用時における指導管理料の算定に大きな混乱が生じている。ASVを取り巻く環境にはどのような課題があるのか、ASVが適正に使用されるためには今後どうすればよいのか。ASVの導入経験例を豊富にもつ参加者が深い議論を行った。
※本座談会は、SERVE-HF臨床試験中間報告のプレスリリース前に行われました。
睡眠呼吸検査はASV の導入、効果の検証のために必須
佐田誠先生(以下、敬称略)
佐田( 以下、敬称略):本日は「適応補助換気(ASV:adaptive servo ventilation)の適正使用と今後について」というテーマで、この分野で経験豊富な皆さまに集まっていただいた。まず、今の心不全治療の現状についてお話したい。
大草:山口大学医学部附属病院で行った試験では、慢性心不全患者164名に対して、パルスオキシメータによる睡眠呼吸障害( SDB:sleep disordered breathing)スクリーニングを行うと、約9割の患者にSDBが認められた。また、SDBが認められた慢性心不全患者の約7割が、無呼吸低呼吸指数( AHI:apnea hyponea index)が20回/h以上のSDBを有していたこともわかった。ところが、私が所属する九州大学病院では、心不全治療においてパルスオキシメータ検査や睡眠ポリグラフィ( PSG:polysomnography)検査をするという検査ストラテジーがまだ少ない。
佐田:心不全を専門とする医師の場合、睡眠呼吸検査をあまり行わないことが多い。
大草:パルスオキシメータ検査ならクリニックでも可能なので、ぜひルーチン検査としていただきたい。
義久:睡眠呼吸検査は絶対にやったほうがいい。
安藤:患者が重症心不全である場合、私は基本的に全例、睡眠呼吸検査をすべきだと思う。チェーン・ストークス呼吸( CSR:cheyne-stokes respiration)が認められればASVを導入する場合が多い。
佐田:ただ、実際のところ、心不全に対してASVが有効な症例もあれば、効果が見られない症例もある。結果が十分に解析されていないので、臨床の現場でもトライアンドエラーになっている。
安藤:その点で非常に気になるのが、多くの症例でデフォルト設定のままASVを装着していることだ。設定を調整して初めて、適応できる患者と適応できない患者を見分けることができるのだが、ほとんど実施されていない。特に循環器科医は、なかなか設定を調整しようとしない。
義久:また、ASVをより正しく使おうとするなら、やはりPSG検査で効果を確かめなければならない。肺うっ血の解除や、左室駆出率( LVEF:left ventricularejection fraction)や脳性ナトリウム利尿ペプチド( BNP:brain natriureticpeptide)といった心不全マーカーの改善も指標の一つになるが、呼吸管理という観点においてはPSG検査でないと判断できない。
佐田:循環器領域において心不全治療は重要なことなので、PSG検査の重要性は啓発する必要があるだろう。ただ、現場の状況も考えなければいけない。検査技師の確保など、課題は多くある。検査実施の地域差も感じている。
義久:その通りだ。
佐田:PSG検査を行うとき、決まった病室を使っているのか。
義久:いえ、病棟で空いている部屋はどこでも使うという方式としている。
佐田:今は携帯型やワイヤレス型の装置も登場して、PSG 検査の負担は減りつつある。
CSRの治療にはASVが有効、コンプライアンスもよい
義久:『循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン』では、CSRを伴う中枢性睡眠時無呼吸( CSA:central sleep apnea)が認められたときには、まず持続式陽圧呼吸療法( CPAP:continuous positive airway pressure)を行い、効果が見られなかったときには二層式気道陽圧( bi-level PAP:bi-levelpositive airway pressure)やASV、酸素療法を検討するという順番になっている。
ただ、当院では患者の心不全の既往歴などを加味して、CSRと判断したときには、最初からASVを導入している。その後、病態の変化を観察しながら、閉塞性睡眠時無呼吸( OSA:obstructive sleep apnea)が出
るようになればCPAPにダウングレードするという方針で取り組んでいる。大事なことは心不全の経過とSDBの変化を適宜見直し、その都度CPAP、ASVやHOTの適応を再考することであると考えている。
安藤:一番懸念しているのは、CPAPのコンプライアンスは比較的悪いため、最初にCPAPを導入すると、患者がマスク装着そのものに否定的になってしまうことだ。
義久:その通り。
安藤:ASVでは呼気気道陽圧( EPAP:expiratory positive airway pressure)の圧が5 cm程度なので、患者への負担が少なく、コンプライアンスも比較的よい。ところが、CPAPはそれ以上のEPAPをかけるので、患者が苦痛に感じることが多い。そこでマスク装着そのものを否定されてしまうと、陽圧呼吸療法自体が困難になってしまう。
義久:CPAPではなくて、ASVだからこそ期待できる効果はある。
佐田:その点はやはり強調したほうがいい。CSRの治療にはASVのほうが特に有効だというデータが多い。
安藤:CPAPに比べてASVのほうが快適ということもある。
急性期と慢性期におけるASV 使用の注意点
安藤:ASVの使用記録を見ると、患者の呼吸パターンが日々変化していることがわかる。CSAが出る日もあれば出ない日もあるなど、睡眠時の呼吸動態はかなりダイナミックに変化する。
佐田:その原因を特定するのはかなり難しい。
安藤:水分摂取量の差など、多くの要因が絡んでいるだろう。
義久:以前から肺毛細血管楔入圧(PCWP:pulmonary capillary wedge pressure)が高いほどCSRが出やすいということが知られている。PCWPの影響もあるのだろう。それを考えると、検査時ではSDBが認められなかった心不全患者でも、連日観察するとSDBを生じる日があるのかもしれない。
安藤:そういう意味では、家庭で苦しさを感じたときだけASVやCPAPの機器を使用するという方法もありうるかもしれない。エビデンスはないので慎重に考える必要はあるが。
佐田:ASVが登場した当初は急性期にも導入された症例が多かったが、急性心不全に対するASVの効果はどうなのか。
安藤:ハイエンドな設備がある大学病院や基幹病院では必要ないと思う。ただ、設備やスタッフが十分でない場合や、緊急時で一時的に装着させるには有効だろう。
佐田:当初、ASVの導入基準が明確でなかったので、急性期で効果が得られなかった症例があったと聞いている。
義久:大学病院なら優れた機器が多くあるので、当院でも通常は急性期の管理としてASVを使うことはない。ただ、入院するほどではないが呼吸や心不全が増悪している患者の在宅使用や入院するとしても経鼻酸素投与でも対応可能かもしれない比較的安定した心不全患者に対しては、CPAPやASVの使用は有効だと思う。個々の病態や状況に応じて使い分けるべき。
安藤:有効である病態がわかっていればいいが、最初から全てASVを使えばよい、という考え方はいけない。
義久:その通りだ。
安藤:使える症例もある、ということ。
義久:ただ、入院時に行う処置に近いことを在宅でもできるという点では、ASVは家庭で使う機器としては優れている。狭心発作のときにニトロ製剤を使うのと同じように、心不全の増悪時にASVやCPAPを使用して肺うっ血の解除を狙う側面はあると思う。
大草:当直で他科に循環器医が呼ばれたときに、つなぎで使うのも有効かもしれない。
安藤:ただ、肺炎を契機にして心不全を起こしているときには、マスクの装着が肺炎を増悪させる場合があるので、この点は注意すべきだ。
大草:特に高齢者では、肺炎によって心不全が増悪することが多い。
佐田:慢性期でASVを使用するときに注意することはあるか。
義久:一つは右心機能が低下している患者。陽圧によって前負荷が減り、心拍出量が低下する可能性が高い。もう一つが、大動脈弁狭窄症や閉塞性肥大型心筋症などの患者。うっ血が解除されてからも過剰な陽圧をかけると、血圧低下や低心拍出につながる可能性がある。
佐田:それはASVに限らず、CPAPも含めた陽圧呼吸療法全般に当てはまる。
義久:その通り。うっ血の強いときは低圧をかけることで有効だが、安定期の使用は注意が必要だ。
佐田:私のところでも右心不全につながる肺高血圧症の患者が多いので注意している。
安藤:ただ、肺動脈の血管抵抗を下げるためという意味では、もしかしたら有効かもしれない。実際、CPAP治療後で右心機能が改善されたという症例は多くあると聞いている。
佐田:左心機能の改善だけではなさそうだ。
義久:自験例だが、CPAP導入後で右室面積変化率( FAC:Fractional area change)といった右心機能や肺高血圧改善することがある。肺高血圧症の患者の一部には、陽圧呼吸療法が有効かもしれない。
ASV 導入における指導管理料算定の混乱
安藤:2014 年2 月12 日に開かれた第272 回中央社会保険医療協議会総会おける「医科点数表の解釈の明確化」のなかで、心不全患者のSDB に対してASVを使用したときに、在宅人工呼吸指導管理料を算定できないとした( 資料1 )。これは、ASV 治療に関わる医師に大きな混乱をもたらした。ところが、同年4 月10 日には、在宅酸素療法( HOT:
home oxygen therapy )指導管理料または在宅CPAP 指導管理料で算定できるという厚生労働省からの通達があり( 資料2 )、この場合には人工呼吸器加算が適応できると解釈されている。
ただ、心不全の基準は、HOT の該当条件にしか書かれておらず、NYHA がIII 度以上、AHI が20 回/h 以上としている。実際には、これに各都道府県の条件が付加される。すなわち、SDB が認められる心不全患者にASV を導入したときでは、在宅人工呼吸指導管理料ではなく在宅CPAP 指導管理料が算定されることになる。SDB がない心不全患者に対する指導管理料は明文化されていないが、在宅人工呼吸指導管理料が加算できると解釈できる( 表1 )。
このように解釈された結果、重症心不全患者ではSDBのあるほうが診療報酬点数の合計が低くなるという奇妙な現象が起きている。
大草:山口県では必ずSDBの有無を聞かれている。入院時のNYHAクラスとデバイス植込みの有無、移植待機中かどうかに加え、AHIの数値を聞かれる。
安藤:AHI が20 回/h 以上であれば適応される、と。
大草:その通り。ただ、本来であれば在宅CPAP 管理料となるところが、心不全が重度であれば在宅人工呼吸指導管理料が通る場合もあり、審査員も現場も混乱している。
佐田:これはおそらく、重症心不全に対する見解を厚生労働省が示していないため、異なる解釈ができてしまうためだと思う。
義久:福島県では審査員がASVの治療に理解を示しているからか、在宅人工呼吸指導管理料を申請しても断られるケースは比較的少ない。当院は大学病院のため、比較的重度の心不全患者が多いという背景があるのかもしれないが。
安藤:そのときにはSDBの検査結果は記載するのか。
義久:心不全の重症度と経過を中心に記載する。PSGは基本的に行っているので審査で求められればSDBについても記載するようにしている。
安藤:現在懸念しているのは、審査を通りやすくするためにSDB がない重症心不全というケースの申請が少なくなりつつあること。指導管理料の算定で明文化されていないため、保険適応させたいと医師が考えたときには、SDB がある重症心不全として、在宅CPAP 指導管理料と人工呼吸器加算で申請するパターンが増えている。
SDBがない重症心不全患者、重症心不全がないCSR患者についての議論がない
安藤:ASV の指導管理料における問題には、大きく三つある。一つは、ASV を使った治療なのに在宅CPAP 指導管理料で本当にいいのかということ。次に、SDB がない重症心不全に対する見解がないために、その適応例が少なくなっていること。
最後は、心不全はないがCSR がある場合はどうすればいいのかという議論が全くなされていないこと。
ASV が肺うっ血の解除や心機能の改善に貢献しているということを考えれば、SDB の有無にかかわらず、重症心不全患者にはASV は適応されるべきである。また、CSR を有する患者に対してはASV は
有効な治療法であるため、心不全の有無に関わらず適応されるべきである。特に、この2 点の議論が全くなされていない。
義久:既報論文データや海外及び本邦ガイドラインと日本の保険診療に、かなりの乖離を感じる。日本の保険診療は、CPAPとASVを完全に分けようとしている。しかし実際の患者では、心不全の状況によっ
て、OSAとCSA が混在したり交代したりして出現することがある。さらに、OSAにはCPAPを、CSAにはASVを導入することが、心機能や予後の改善に有効であるというデータもある。CPAPとASVを保険上
完全に切り離すのではなく、心不全患者にはどちらも使用できる柔軟性がほしい。
大草:在宅人工呼吸指導管理料は、本来は神経筋疾患といった重度な疾患を対象にしているため、診療報酬点数が高い。もう少し診療報酬点数の低い、新しい指導管理料の項目を作るのがいいのではない
か。一人一人の病態に基づいた、個別の呼吸管理治療にもつながると思う。
佐田:在宅人工呼吸指導管理料の診療報酬点数が高いことも、普及の障害になっているのかもしれない。
安藤:診療報酬点数の引き下げは検討されているが、人工呼吸器を使った他の疾患治療にも影響が及ぶため、実現するかは不透明だ。むしろ、重症心不全に対する陽圧呼吸療法指導管理料の項目を新たに作るのがいいと思う。そのためには、厚生労働省が納得できるエビデンスが必要となる。
佐田:日本でもランダム化比較試験(RCT:randomized controlled trial)を行い、エビデンスを出さないといけないのだろう。
PSG検査における保険請求の課題
安藤:保険請求においては、PSG検査にも課題がある。心不全を扱う病院の多くは疾病別包括払い制度( DPC:diagnosisprocedure combination)対象病院のため、入院中のPSG検査には診療報酬点数がつかない。少しでも診療報酬点数がつくようにしたい。
佐田:PSG検査がなかなか普及していないので、その改善も必要だろう。検査技師の確保や優遇も望まれる。
安藤:点数がつく場合でも、検査室で検査技師が終夜監視するタイプ1と、携帯型脳波検査とするタイプ2が同じ診療報酬点数となっている。タイプ1のほうが手間も費用も大きくかかるので、これが好ましい状
況とはいえない。
安藤:PSG検査によってより適正な治療を行うことができ、結果として早期の退院につながることが示せれば、患者にとっても、あるいは総合的な医療費の削減という意味でも有用であるはず。そのようなエビデンスを構築したい。
ASV離脱の基準作りも必要
安藤:これからの高齢化社会を迎えるなかで、心不全の患者も増えていくだろう。医療経済のことを考えると、ASVの導入だけではなく、離脱の基準も作るべきだ。
義久:これは私見になるが、ASVの離脱条件は二つあると考えている。一つは、心不全の安定化。これには、心不全マーカーの改善やリバース・リモデリングがある。もう一つが、CSRの消失。
佐田:ASVから離脱するとすれば、CPAPにするのか、あるいは陽圧呼吸療法を完全に止めるのか。
義久:ケースバイケースだが、ASV導入後に心不全が改善するにしたがって、CSRが消失する代わりにOSAが現れる患者はいる。そのときには、CPAPに切り替える場合がある。
安藤:離脱に関する報告はほとんどないので、それに取り組む必要があるだろう。
佐田:今後、ASVの適正使用のためには、どういう患者にASVを導入すべきなのか、あるいはどういう状態になったら離脱させるべきなのか、統一した基準を作らないといけない。
呼吸器科医との連携を目指して
大草:今回の日本循環器学会学術集会では心不全を多角的にとらえており、不整脈や神経体液性因子に関するセッションもあったが、呼吸をテーマに議論できるセッションもほしかった。
安藤:先月開かれた日本呼吸器学会学術講演会では、循環器学会との共同シンポジウムがあった。
佐田:ぜひ、循環器学会と呼吸器学会で相互に共同セッションを設けたい。循環と呼吸は密接に関係しているので、それぞれの医師が同じ場で議論するのは大事だと思う。
安藤:循環器科医には、ASVやCPAPの機器の細かい設定を苦手とする人が多い。お互いにわかり合えるようなセッションができればいいと思う。
義久:呼吸器科医から見ると、心不全患者におけるCSRの有症率は非常に高く、同じSDBを扱っていても印象はかなり異なるようだ。
安藤:当院でも呼吸器科医だけでなく、精神科医や耳鼻科医といっしょに議論する場はあるが、お互いに本当に交流できているかと言われると疑問だ。特にASVの議論になると、まだまだ意見交換が足りないと感じる。
大草:それは、心不全の理解が不十分だからか。
安藤:直感的にわかりにくい、というところはあるのかもしれない。
義久:呼吸器科医が心不全を理解する必要があるし、私たちも呼吸生理をより理解する必要がある。共通の言葉があるようで、まだお互いの理解には至っていないように感じる。
佐田:特に心不全患者では、OSAとCSAが混在したり入れ替わることが多い。一度診断して、治療を開始したら終わりというわけではない。そこが通常のOSAと違うところ。治療経過を注意深く診ないといけない。
多施設RCTを通じて、説得力のあるデータを出す
大草:重症心不全患者の8割以上がSDBを合併しているということを循環器医は認識して、治療を行うこと。そして、そのときのデータを多く出すことが求められる。
安藤:日本で今後取り組むべきことは、RCTとするためにもレジストリ( 前向き観察研究)をしっかりやることだ。一部の施設の少数例を紹介するだけでは不十分。対象施設を決め、全例のデータを記録すべきだ。
佐田:ASVの導入例はかなり多いので、貴重なデータは多くあると思う。それを持ち寄って検証するのが大事だ。
大草:日本で1000例ぐらいの症例が集まれば、説得力のあるデータが出ると思う。
佐田:PSG検査がしっかりできる多施設でやることが、データの質を上げることになる。そこは強調したい。
総括
佐田:密度の高いディスカッションができたと思う。現在の日本では、保険適応の解釈に地域差があり、ASVの導入についても、それぞれの地域で苦労していることが浮き彫りになった。
今後、どのような病態にASVが有効かということを、強固なエビデンスで示していきたい。国にも呼びかけ、使われるべき患者に適切に使えるような仕組み作りを目指す。そのためには、単施設ではなく、多施設で統一したスタディを組むことが重要だ。時間はかかるかもしれないが、全員が同じ方向性をもって取り組んでいけば、保険適応の状況も含めて、少しずつ改善できると感じている。
編集後記
本座談会は2015年4月に実施された。その後、SERVE-HF試験( CSR優位、左室駆出率45%以下の安定期心不全患者を対象としたASV群vs.Control群のランダム化比較試験)に関するResmed社によるプレスリリースが出された。その中間解析結果では、ASV使用群にて突然死が増加した。本邦における患者背景や臨床実態および先行研究結果との相違もあり、SERVE-HFの解釈には注意が必要であり、詳細な解析結果の発表が待たれる。また、本邦で実施されたSAVIOR-C研究では、6 ヶ月後の心不全症状と心不全の増悪を複合した臨床複合反応はASV群で有意な改善を示し、複合心イベントの発生リスクに関してもASV群での悪化は見られていない。上記を受けて、2015年6月現在日本循環器学会、心不全学会よりステートメントを公表しており、上記基準に該当する患者に対する新規ASV導入の一時中止、現在ASV使用者における継続使用の再検討を進めている。ステートメントについては、今後のSERVE-HFの公表等を待ち修正予定となっている。