メディスターレポート

経鼻胃管チューブ・PEGから注入できる半固形化栄養法の検討 ~とろみ調整食品を用いて~


とろみ調整食品を用いた半固形化栄養法のQ&A

 

Q1.半固形化栄養法の効果はどのようのものがありますか。

A.下記にまとめた表の通りです。


 

Q2.とろみ調整食品を用いた半固形化栄養法のメリット ・デメリットは何ですか。

A.下記にまとめた表の通りです。


 

Q3.除外基準はありますか。

A.あります。下記の点に注意してください。


 

Q4.注入時における注意点はありますか。

A.カテーテルチップを強く押し過ぎないこと、注入を開始したら中断せず連続注入することです。

カテーテルチップを強く押しすぎると、チューブの内筒に抵抗がかかり、負担が大きくなります。また、注入を途中で中断すると、粘度が付き過ぎてしまうので、連続的に注入します。
目安としては、250mLのとろみをつけた経腸栄養剤を5~10分以内に注入することを心掛けてください。
注入に力を要するときは、内筒にオリーブ油を付けたり、カテーテルチップのサイズを小さいもの(30mL)に変更したりすると注入が容易になることがあります。

 

Q5.消化態栄養剤や成分栄養剤にも使用することができますか。

A.本方法では、使用できません。

人工胃液内での増粘効果は認められませんでした。
栄養剤に含まれる窒素源が、タンパク凝固反応の起こらないアミノ酸やオリゴペプチドのためです。

 

Q6.水分の注入方法とタイミングはどうしたらよいですか。

A.原則的に、とろみをつけない水を経腸栄養剤投与30分前位に注入します。

水分は経腸栄養剤と比較して胃からの排泄が早いためです。また、経腸栄養剤に水分を混ぜることは推奨できません。なぜならば、浸透圧等が崩れてしまうからです。
ちなみに、水分にとろみ調整食品を添加しても人工胃液内では増粘効果が認められないことを確認しています。

 

Q7.経鼻胃管以外の胃瘻栄養にも使用できますか。

A.使用できます。

チューブの先端が十二指腸に留置されている腸瘻栄養は、胃酸の影響を受けにくいので使用ができませんが、胃瘻栄養(PEG)でも本法は実施できます。
PEGの場合は、径が太いためより簡単に注入できます。

 

Q8.注入バックからの自然滴下は可能ですか。

A.チューブのサイズ、とろみ調整食品の添加量によっては可能です。

自然滴下の場合は、注入スピードが速くなりすぎるときがあるので滴下調整など注意が必要です。なお、右表はとろみ調整食品(ネオハイトロミールⅢ®)を1.0%添加した場合になります。経腸栄養剤の種類によって粘度が異なるため、目安として下さい。また、自然滴下が途中で止まる場合は、手押し注入に切り替えてください。

 

Q9.費用はどれぐらいかかりますか。

A.経腸栄養剤にかかる費用に、とろみ調整食品の費用が加算されます。

具体的には、分包タイプの場合1包(2.5g)20円、500g入りは2.5gあたり約10.68円、2kg入りは2.5gあたり8.31円となります。
医薬品扱いの経腸栄養剤では医療保険の適応となるため1~3割負担+とろみ調整食品の費用を加算します。

 

引用文献

1) Haynes-Johnson V:Tub feeding complications:Causes、prevention、and therapy.Nutritional Support Services、6:17-24、1986.

2) 合田文則:胃瘻からの半固形短時間摂取法ガイドブック―胃瘻患者のQOL向上をめざして―:医歯薬出版、11-14、2006.

3) 東口髙志他:半固形化栄養法ガイドブック-PEGからNGチューブまでできる!-、株式会社メディカ出版、2012.

4) 爲季清和:粘度調製食品REF-P1と経腸栄養剤メイバランス1.5を用いた胃食道逆流に伴う誤嚥性肺炎の予防効果、静脈経腸栄養、23(2):263-266、2008.

5) 合田文則:半固形化栄養剤(食品)による胃ろうからの短時間注入法、臨床栄養、106(6):757-762、2005.

6) 金岡俊治、小松建次、溝渕健介:粘度調製食品を用いた経腸栄養の胃食道逆流に伴う誤えん性肺炎の予防と患者のQOLに対する長期的影響、静脈経腸栄養、20(1):65-69、2005.

7) 足立香代子:栄養剤短時間短時間注入法、月刊ナーシング、27(3):70-75、2007.

8) 永口美晴、幣憲一郎:経腸栄養法のピットフォール 増粘剤と胃内での変化、臨床栄養、110(6):696-701、2007.

9) 伊藤由妃、今高多佳子、小林一信:とろみ剤を用いた半固形経腸栄養剤と寒天を用いた固形経腸栄養剤の物性比較、静脈経腸栄養、21(3):77-83、2006.

10) 三鬼達人、馬場尊:細いチューブからでも検討できる半固形化栄養法:エキスパートナース Vol.25 NO.9 July:32-37,2009.

11) 三鬼達人:ハンディマニュアル 摂食・嚥下障害のケア.才藤栄一、馬場尊監、152-158、メディカ出版,2010.

12) 秋山純一、藤澤智雄、大和滋:胃食道逆流症患者におけるOmeprazole長期投与中の酸分泌抑制効果の検討、Therapeutic Research、24:5、2003.

13) 杉本光繁、吉田隆久、梶村昌良:Rabeprazole、 Famotidine投与におけるCYP2C19遺伝子多型に応じた酸分泌抑制効果の検討、胃分泌研究会誌、36:2004.

14) 吉田隆久、白井直人、杉本光繁:CYP2C19遺伝子多型のLansoprazoleによるGERD治療への影響、Therapeutic research、25:4、2004.

参考文献

1) 蟹江治郎:胃瘻PEG合併症の看護と固形化栄養の実際、日総研出版、2004

2) 合田文則:半固形食品短時間注入法による胃瘻からの短時間注入法の適応に関する検討、静脈経腸栄養、2004;19;154

3) 合田文則:胃瘻とバイオエシックス:半固形栄養材短時間摂取法-胃瘻患者のQOL向上を目指して-、消化器医学、2007;5;26-36

4) 合田文則:胃瘻からの半固形化栄養材をめぐる問題点とその解決法、静脈経腸栄養、2008、23(2)

5) 永口美晴:増粘剤と胃内での変化、臨床栄養、2007;110(6);696-701

6) 岡田晋吾:「投与デバイス」「粘度」「追加水」「チューブ汚染対策」をどうする?変わった!新しい!PEG(ペグ)半固形化栄養法の工夫、エキスパートナース、2010;26(2)、95-103

三鬼 達人 Profile

藤田保健衛生大学病院 看護主任

日本看護協会 摂食・嚥下障害看護認定看護師

日本摂食・嚥下リハビリテーション学会認定士

日本摂食・嚥下リハビリテーション学会評議員

主な著書

・あなたが始める!摂食・嚥下・口腔ケア:照林社、2011.監修・執筆

・半固形化栄養法ガイドブック:メディカ出版、2012.編集・執筆

・摂食・嚥下障害リハ第2版:医歯薬出版、2007.分担執筆

・摂食・嚥下ベストナーシング:学研メディカル秀潤社、2010.分担執筆

・ハンディマニュアル 摂食・嚥下障害のケア:メディカ出版2010.分担執筆

・歯科衛生士のための摂食・嚥下リハ:医歯薬出版、2011.分担執筆